現在、2022年令和3年、歯科医師をめざそうか考えている人に向けて、
目指すべきではないヒトがいます。
それはズバリ。
学力がない人で、経済力(親の)がない人です。
そんなのは当たり前かと思いますが、どの程度の学力なのか
どのくらいの経済力が必要なのかという話を今回は紹介したいと思います。
2021年度の大学受験生から、受験人口が大学定員を大きく割り込み、学力がなくても、ある程度の資金があれば、誰でも大学生になれるようになりました。
歯学部においても、20年前、西暦2000年頃は、国公立大学の歯学部に入学するには、医学部に準ずる学力が必要で、私立大学医学部入学より入学するのが困難で、どこの国公立大学歯学部でも偏差値は優に60を越えていました。
しかしながら、今の国公立大学の歯学部はせいぜい偏差値は55程度(旧帝大:北海道大学55、東北大学57.5、大阪大学60)です。
さらに私立大学はもっと悲惨で、国家試験合格率が安定している私立大学歯学部は東京歯科大学と昭和大学歯学部の2校のみ、東京歯科大学は57.5、昭和大学歯学部は55です。
それ以外の私立大学はどんぐりの背比べ。名門私立歯学部と20年以上前に言われていた、日本歯科大学52.5、日本大学歯学部50、愛知学院大学歯学部42.5、大阪歯科大学52.5と偏差値、(難易度)は年々低下しています。
それ以外の私立大学歯学部は偏差値は40前半が大半で、中にはボーダーフリー(BF)の大学もあります。
これらの入学時の偏差値が、そのまま歯科医師国家試験合格率の成績へと完全につながっているわけではありませんが、東京歯科大学と昭和大学歯学部の2校以外はどこの私立大学でも大学生活6年間を通じて、上位3分の1(1/3)にいないとストレートで、(最短6年間で、)歯科医師になるのは難しいです。ストレート合格率というのも調べれば出てきます。信じ難いかもしれませんが、私立大学歯学部では先ほどの2校以外は30%前後です。つまり、6年間大学に通って、一発で国家試験を通れる子が3割ということ。3割をわる大学もあります。じゃあ1、2、年留年して歯科医師になれる割合は?と気になる方もいるとは思いますが、なかなかその数値は出ませんし、解析も難しいです。なんとなく5、6割が歯科医師になれれば良い方だと思ってます。偏差値がBFの私立大学ではもっと歯科医師になるのは難しいのは言うまでもありません。
ちなみに、歯科医師国家試験は年々、難化しており、2021年度115回歯科医師国家試験の合格率は61.6%でした。
これらのことから、
地方国立大学歯学部に進学できる学力があれば問題ありません。6年間の学費は総額、約350万円程度。実家から通えない場合は下宿代や仕送り代など生活費がかかります。6年間通えば、ほとんどの子が歯科医師国家試験に合格し、歯科医師になれます。
私立大学歯学部でしたら、東京歯科大学もしくは昭和大学歯学部に入学できる学力があれば良いでしょう。ちなみに東京歯科大学の初年度学費は約950万円。次年度以降約450万円、6年で軽く見繕って3200万円になります。昭和大学でもその程度を考えておかないといけません。学費は地方国立大学の約10倍かかりますが、それでも6年間通えば、歯科医師になれる可能性が高いです。
それ以外の私立大学では成績を上位3分の1を維持できれば、6年で卒業できます。東京歯科大学、昭和大学より学費が安いところもあります。1番安いと謳っている私立大学は明海大学歯学部で6年総額約1930万円です。あくまで、6年でストレートで卒業できたら安いですが、3分の2の学生は留年や国試浪人になりますので、学費がさらにかかります。最悪、大学を卒業できても国家試験に合格できず歯科医師になれないかもしれません。
ここまで、読まれた方は私の「歯科医師になれる」という表現に違和感を感じた方もいらっしゃるでしょう。大学歯学部に6年間以上通って卒業したんだから歯科医師にあるのは当たり前だと思われているからでしょう。
改めて書いておきますが、「私立大学歯学部卒業=歯科医師になれる」ではありません。
年々、歯学部を卒業しても歯科医師国家試験に受からず、国試浪人している人が増えています。その実態、実数は追いかけられないので、数字として表に出てきませんが、これは歯科関係者なら知っている「闇」になります。
さあ、そういう背景を踏まえた上で、受験生、もしくは受験生の保護者の方で歯学部6年間いく資金があり、
そのぐらいのお金を出しても痛くも痒くもないのであれば東京歯科大学、昭和大学歯学部以外の私立大学に進学したら良いでしょう。
その資金的余裕が無いならば、
歯科医師を目指すのは辞めておいたほうが良いというのが、私の率直な意見です。
もちろん、どうしても歯科医師になりたい。
学力がなくても、
多少(学費で3000万円を多少と言えるのであれば)学費がかかっても、
6年以上の月日をかけて、歯科医師になれず、ただ歯に詳しい大卒になるだけかもしれなくても、
自分、もしくは自分の子供の可能性を信じて、歯学部に進学するのも良いでしょう。それも人生だとは思います。ただ、かなりの危険な「賭け」であると言う認識は持っておくべきでしょう。
その場合でも、アドバイスしておきたいのは、
「撤退時期」を両親と相談し、はっきり決めてから進学するのをお勧めします。
撤退時期としての例として、「2回留年したら、退学もしくは転部をする」などです。
そういうきまりを決めて、覚悟を決め、6年間しっかり努力すれば、歯科医師になれる可能性もあります。
プチ情報として、
私立大学歯学部の多くは退学基準を少しづつ厳しくしています。
これは、歯科医師になれる可能性の低い学生を、ずるずる留年させ、大学に在学させるということを防ぎ、早めに学生に歯科医師になるという以外の進路を考えさせ、そしてそれを促すためでもあり、世間からの大学への「留年商法」という非難・指摘を避けるためでもあります。それは大学ごとで退学基準は違いますので、それも進学する前に確認しておくと良いでしょう。
厳しいことを書いたかもしれません。
しかしながら、リスクを正確に知っていないと、大きな失敗につながります。
また少子化が進み、大学受験人口が減少し、大学生の枠が余っている現状、しかも私立歯学部の実態は学生を入れるために、どんな学力の学生でも入学させています。それが良いとか悪いとかはありませんが、そういう現状であるということを知らないといけません。
この情報をぜひ役立てていただき、進路を決める、もしくは準備してください。