研究室のさまざまなスタイル。
私はアメリカの一地方都市、それでも有名ながんセンターでポスドクをしていましたが、
同じがんセンター内でも、さまざまな研究室のスタイルを見聞きしました。
その中で特徴的なラボのスタイルを4つ紹介したいと思います。
1. 出身国がアメリカ以外のボス
2. 同国人で固めたラボ(日本人版)
3. 同国人で固めたラボ(中国人版)
4. 夫婦主体のラボ[toc]
初めに、皆さん知っているとは思いますが、
日本の研究室のように
教授が王様のようにいて、
その下に准教授、助教が手下としている
という感じではありません。
一つの講座に何人も教授(Professor)がいます。
その中の一人が、講座を取りまとめる教授でいます。
さらに准教授(Associate Professor)、助教(Assistant Professor)が、これまた何人もいます。
日本と大きく違うのは、全員独立して、別々のテーマで別々の研究をしています。
助教だろうと、自分で獲得したグラントで、自分の裁量でポスドクを雇い、実験道具を購入し、自分のやりたいように研究を進めています。グラントがあれば、研究スペースも与えられ、バンバン研究機器も新品にできます。
その自由度は半端ないようでした。
ただグラントがなかったら、ヒトは雇えませんから、そこは講座を代表する教授の差配で、
研究費をほんの少し、割り当ててもらって、細々と一人で研究している人もいます。
そこは実力主義なのでしょう。
なかなかグラントが当たらず、研究するスペースもなく、デスクだけある「教授」もいました。
お金(グラント)を持って、結果(研究成果)を出す。
それが、全て!
あとはなんでもあり!!
「自由」ってそういうことなの?って思ったことがあります(笑)
そういう背景ですから、
ほんと、ラボの雰囲気とか、さまざまです。
1. 海外からきて、アメリカで成果を出して、ポジションを得た強者のボス(私の所属したラボ)
私のボスは、インド人でした。インドから、アメリカに来て、ポスドクとして長年研究し、そしてグラントを当てて、研究室を持ったばかり。まさに成り上がってきた人。私のボスだけではなく、多くのラボ運営者はそういう経歴を持ってました。中国人だったり、日本人だったり、ドイツ人、韓国人、もちろんアメリカ人も。
私のボスは、日本人が好きなようで、真面目に働く日本人を一人雇いたかったという理由で若く、海外に挑戦しようっていう研究者を探していたところ、何人かの候補の中から、私が選ばれたようです。
研究室のポスドクは、私を入れて2人。
ベテランポスドクの中国人。
英語の怪しい日本人(私)。
コロンビア人(女性)の大学院生。
と、ささやかな陣容でした。
それでも毎年インパクトファクターが6点ぐらいの論文を数本出していました。
2. 同国人でほとんど固めたラボ(日本人版)
日本人ボスにも色々なスタイルがあるようでしたが、私の知っている研究室の一つでは、日本人ポスドクを何人も雇っており、ほとんど日本人でした。
日本人同士のサラリーの話はタブーでしたが、お酒の席でちらっと効いた話だと、1万数千ドル/年だと聞きました。私の4分の1のサラリー?
ベテランの日本の医師を何人も、そんな安い給料で雇っていたようです。医師としてはベテランでも、研究者としては、経験不足、実績不足で、海外で安い給与でもいいから研究したいというヒトを集めていたのでしょう。
こう書くと、その日本人ボスが悪いように思われるかもしれませんが、
そこはギブアンドテイクが成り立ち、日本人ボスも、お金をやりくりして「成果」を出す「方法」として採用しているのでしょう。
個人的に、そういう方法もあるのねっ思うだけです。
他の日本人ラボでは、日本の私立大学医学の臨床系の医局と繋がりを保ち、その医局から、立ち替わり入れ代わりで、医師をポスドクとして使っていました。
使っているといったほうが良いというのは、その日本からくる医師たちは無給のようだったからです。
こういう日本人ラボで働くメリットとして、「日本語」でボスとの疎通ができる。
研究の「結果」を出すプレッシャーはほとんどなく、純粋に研究が経験できるというところでしょうね。
3.同国人でほとんど固めたラボ(中国人)
中国人ラボ、私が見聞きした中国人研究室は、ボスが中国人で、ポスドクはほとんど若い女性の中国人ポスドクで固められていました。そういう趣味?(笑)
初めその若い女性ポスドクたちをみたときは、なんとも思わなかったのですが、
一年も滞在すると、その子達がとっても可愛く見えてきたのが不思議でした(笑)
ガリガリで黒髪で、細身で、華奢で、細目で、、、今、思い出しても、それほど綺麗だったと思わないのですが、日本人、中国人からだけではなく、アメリカ人からもチヤホヤされて、モテていたようです。
一種、独特な雰囲気を持ってましたが、挨拶するようになると、ウエスタンの抗体とか、試薬を試させてってお願いしたら、優しく分けてくれたりして、話してみるといい人たちでした。
4.ボスが、配偶者をポスドクとして研究室を運営している。
いくつかの研究室で見受けられました。研究者同士で結婚して、一人はボスとして、もう一人はそのラボにポスドクとして働く。そういうスタイルの研究室が結構ありました。
このスタイルで研究室運営がうまくいっているところが多い印象です。
まあ、一人分のポスドクの給与は、そのままボス夫婦の収入になるので、研究室運営という「経営」面で、とっても良いのだろうと思います。
当たり前ですが、夫婦仲が悪いと、研究室の雰囲気も悪いですね。
以上、私が見聞きしたラボのスタイル、4つを紹介しました。
その当時は、とっても不思議に思ったりしたものです。
みなさんはどう思いますか?
それでは何かの参考になったら幸いです。