歯科医師に対するイメージはどんな感じでしょうか?
一昔前1970-1980年頃までは、金持ちのイメージでした。
しかし歯科医師過剰が進み、それが世間にも認知され2010年以降は、お金持ちのイメージは消え、むしろ学費などの費用対効果を考えたら割に合わないことが知られるようになりました。
さて、私は2022年でもうすぐ歯科医師免許を取得して20年が過ぎようとしており、ベテランといわれることが多くなってきました。その間、歯科医師になったのち、地方国立大附属病院の口腔外科で2年間研修し、2年間の間に地方病院でも研修し、その後医学部大学院に進学、海外留学、歯学部教員など、他の歯科医師よりは多彩な経歴を持っていると思います。
こうした経験から、歯科医師の進路による収入の違いを見聞きするに至り、その情報を共有したく思います。
ただし、確たるデータがあるわけではなく、あくまで「推測」です。
1. 家事手伝い
2. 研修医
3. 大学院生もしくは修練医、専攻生
4. 基礎系研究・教育職(大学勤務)
5. 臨床系研究・教育職(大学勤務)
6. 勤務医(歯科医院)
7. 勤務医(総合病院)
8. 開業医
1. 家事手伝い
女性で歯科医師免許取得したのち、すぐに結婚し家庭に入る方もいます。現在では共働きが多くなっているとは思いますが、30代、40代では、歯科医師免許を持っていても主婦、もしくは、家を手伝う程度の方が結構います。主婦や子育てで仕事を一度離れていても、そこは資格の強さで、パートタイムでも月20−30万円ほど稼ぐことができているようです。まあ、夫が開業医なら、そのお手伝いしてるって方が多いでしょうけど。
2. 研修医
歯科医師免許取得後、歯科医師の場合は1年間の研修期間があります。研修医として働く場合、大学(私立でも国公立でも)手取り月10-15万円が相場です。ただ地方の総合病院の歯科(口腔外科)に勤めると月25−30万円であったり、職場によっては多少の上下があるようです。
3. 大学院生もしくは修練医、専攻生
大学院に進学した場合、アルバイトを認めない研究室もありますが、多くの臨床系の研究室ではアルバイトを認め、そこそこ生活が成り立つように配慮されます。これもピンキリ、またアルバイトとして勤務できる日数によりますが、比較的割の良いアルバイト先を割り当ててもらって月20万−40万円のことが多いようです。理系や文系の大学院生は無給だと思えば恵まれているといえますし、医師の大学院生からしたら、、、、それだけ?で生活してるの?って思われるでしょうね。ただ、歯科の外の世界を知らない多くの歯科医師にとって、大学院への進学はリスクあるものであるのは間違いありません。
修練医もしくは専攻生というのは大学によって、もしくは分野によって呼び方が違うようですし、細かい仕組みも違うようですが、研修医が終わったのち、臨床系の教室に所属して、大学病院でほとんど無報酬で診療しながら、開業医でアルバイトして経験を積む道を選ぶ方がいます。この時の収入はバイト先によるとしか言えませんが、大学院生よりはアルバイトに時間と精力を使えますので、月30万円ぐらい、もしくはそれ以上稼いでいる人もいるようです。
4. 基礎系研究・教育職(大学勤務)
大学職員の給与は大学によりますが、1番低い位の助教の場合、国公立大でしたら、年収600-700万円程度、私立大学でしたら、700-900万円程度です。国公立といえども、独立採算制を取るところが増えて、附属病院の経営に依存しているため、歯科の教員の給与は削減傾向にあるそうですので、今の現象は年収600万円より低いかもしれません。私立大学の場合は、大学によって教員の給与が違いますので、もっと給与がいいところもあるようです。タックル・理事長脱税大学の給与は良いと聞いたことがありますが、大学助成金交付が停止するようですので、今後はどうなるかわかりませんね。また、大学受験者人口が2021年から大幅に減少し、今後も減少し続けることがわかっていますので、私立大学全体の経営を上手くやっていかないと、私立大学の教員の給与も、この先どうなるかわからないでしょう。
5. 臨床系研究・教育職(大学勤務)
基礎系研究・教育職と基本同じですが、教職員でもアルバイトが認められているところが多く、臨床系の教員は、アルバイト先に恵まれていることが多いそうです。これも場所によるのですが、基礎系の教員よりアルバイトがしやすく、さらに国公立大学の教員には何かと「役得」があり、アルバイト代が高いと聞いたことがります。私の個人的な経験ですが、地方国立大学の口腔外科に所属していたときは、関連病院の手術を手伝ったり、もしくは全身麻酔をしに行ったら、医師待遇のアルバイト代がもらえ、半日で5、6万円もらえた時もありました、、、。歯科の開業医のアルバイトで一日働いて一万円もらえれば良いという時代(2000年代)では破格でした。
今の歯科開業医のアルバイト代の相場の具体的な数字は知りませんが、大きく変化しているとも聞きませんので、ある程度当たっているとは思います。
6. 勤務医(歯科医院)
経験年数、もしくは腕次第ですが、月40−50万円からの給与になります。勤務している歯科医院の規模によりますが、その歯科医院の規模に従って上限が決まり、ボーナスの額も個々で大きく変動しますので、年収としては具体的な数値はなかなか出ません。年収でしたら500万円から、1000万円ぐらいまで経験年数と腕で変化しますし、勤務先が良いとそれ以上の年収をもらえるかもしれません。
7. 勤務医(総合病院)
総合病院の歯科・口腔外科に勤務すると、医師と同じ待遇になりますので、年収はすぐ1000万円を超えるようになります。大学勤務の教員の安い給料より、総合病院でポジションを得た方が、収入だけ見れば間違いなくい良いでしょうね。ただ、そのポジションは狭き門ですので、そのポジションにたどり着き、そして維持するのは、普通の歯科医師では難しいです。医師と渡り合い、医師の方から一目置かれるような経歴、研究業績が必要です。歯科大学を出て、歯科単独の附属病院で研修しただけでは、なかなか難しいでしょう。
8. 歯科医院開業
歯科医師の多くは、私の感覚で8割以上は、開業します。自営業の経営者になりますので、年収はピンキリ、具体的な数字は出ません。しかし多額のお金(1億以上)を銀行から借りて、自分の理想とする歯科医院を実現していくのは、大変ですが、やりがいがあり、人生を生きている充実感は非常に高いそうです。また収入が上がれば、大きな自信となります。私は大学同級生の歯科医院開業成功話を聞くのが大好きで、自分は歩まなかった、私にも可能性があった未来図を友人たちが歩いた、そして成功した話は、何回聞いても面白いです。医師の開業医の裕福さには及ばないにしても、そこそこ裕福、、、どのくらいかというと、立派な新築の家を億に近いお金で購入し、子供は私立中学校に入れて、趣味に存分にお金を費やすことができる程度、、ですが、成功すれば、(大変で簡単ではないですが)そういう暮らしをしている友人もいます。もちろん上手くいってない話も、風の噂で聞きますが、借金抱え歯科医院を閉鎖して、アルバイト生活している〜って話もあるようです。最近では、リスクをとって開業するのが怖いため、一度得た、ある程度安定した収入のある開業医の勤務医や病院の歯科への勤務に、しがみつけるだけしがみつくという歯科医師が多いような気がします。
以上、私が見聞きしてきた、歯科医師の進路による収入の違いでした。
収入の話は、センシティブなことですから、はっきり、「収入がいくら?」って話をどこにも出てきませんが、
私の経験から、歯科医師の友人、知人、大学関係者、病院関係者とのつながりから推測して、記述してみました。「え?そうなの?」って思う人もいれば、「それは違う!」って思う方もいらっしゃるでしょう。ただ、この記事が何かの参考になれば幸いです。